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法人の電気契約完全ガイド:低圧・高圧の違いから料金体系、切り替え手続きまで

法人の電気契約とは?個人契約との違い

法人の電気契約とは、企業や事業者が事業活動のために電気を使用する際、電力会社と結ぶ契約のことを指します。電気を使った分だけ料金を支払うという基本的な仕組みは家庭向け(個人)契約と共通していますが、契約内容や条件にはいくつか大きな違いがあります。

ここでは、法人契約と個人契約の主な違いについて整理します。

契約期間・解約条件の違い

個人向けの電気プランは、契約期間の縛りがなく、解約金が発生しないケースが一般的です。一方、法人向けの電気契約では、1年から数年といった契約期間があらかじめ設定されていることが多く、契約期間中に解約すると解約金が発生する場合があります。

たとえば低圧の法人契約では、数千円から数万円程度の解約違約金が設定されることもあります。金額はプランや電力会社によって異なるため、契約前に必ず確認しましょう。

料金メニュー・料金体系の違い

法人契約では、電力使用量が多いことを前提とした料金メニューが用意されています。基本的には、契約容量(契約電力)に応じて決まる「基本料金」と、実際に使った電力量に応じて支払う「従量料金」の二本立てとなっています。

家庭向け契約にも基本料金と従量料金はありますが、法人契約では事前に契約電力(最大需要kW)を定め、その数値によって基本料金が決まる点が特徴です。電力使用量が多い法人ほど単価が割安になる大口向けプランが適用される場合がある一方で、一定量以上の使用を前提とした最低利用容量が設定され、使用量が少ないと割高になる契約も存在します。

サービス・特典の違い

法人向けの電気契約では、ビジネス利用を想定した付加サービスや特典が用意されることがあります。たとえば、専任の法人担当者によるサポート、節電に関するアドバイス、エネルギー使用状況を可視化したレポートの提供など、経費管理やCSRの取り組みに役立つサービスが付帯するケースもあります。

一方、個人契約ではポイント還元や家庭向け特典プランが中心となり、提供されるサービス内容には違いがあります。

契約手続き・必要書類の違い

個人契約の場合、ウェブや電話で比較的簡単に申し込めることが多いですが、法人契約では会社の登記情報や事業所ごとの電力使用状況など、追加の書類提出や手続きが必要になる場合があります。

特に高圧電力の契約では、需給契約書への署名・捺印や銀行口座振替の手続きなど、事前準備に時間がかかる傾向があります。

このように、法人向けの電気契約は電力使用量が多く、契約条件も複雑になりやすいため、内容を十分に理解したうえで選ぶことが大切です。今後は、法人向け電気契約の種類や料金体系、契約手続きの流れについて、さらに詳しく解説していきます。

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法人向け電気契約の種類(低圧・高圧・特別高圧)

法人が結ぶ電気契約は、事業所で使用する電力の規模や受電する電圧によって、大きく「低圧」「高圧」「特別高圧(特高)」の3種類に分類されます。契約種別ごとに料金メニューや契約条件が異なるため、自社の電力使用状況に合った契約を選ぶことが重要です。

低圧契約(低圧電力)について

低圧契約は、比較的小規模な店舗やオフィス、飲食店、クリニックなどを対象とした契約で、一般的には契約電力が50kW未満の場合に適用されます。供給電圧は100Vまたは200Vといった低圧で、電力会社側が利用しやすい電圧に変換したうえで電気が供給されます。家庭用電力と同様の配電方式で利用できるため、多くの小規模事業者はこちらに該当します。
具体例としては、小売店の照明やレジ、飲食店の厨房機器、小規模オフィスのパソコンや空調設備など、比較的電力使用量が少ない事業所が挙げられます。ただし、モーターなどの動力設備を使用する場合は、契約時にその旨を申告し、動力用の低圧契約メニュー(低圧電力)を選択する必要があります。

高圧契約(高圧電力)

高圧契約は、中規模以上のオフィスビルや工場、病院、学校、大型商業施設など、電力使用量が多い施設向けの契約です。契約電力の目安は50kW以上からおおむね2,000kW未満で、供給電圧は三相3線式で6,600V(公称6,000V)が全国標準です。
高圧で受電した電気は、事業所内に設置された受変電設備(キュービクルなど)で使用電圧まで降圧して利用します。そのため初期設備コストは発生しますが、大量の電力を効率よく供給できることから、電力量あたりの料金単価は低圧契約よりも割安になる傾向があります。
中小企業であっても、工場の機械設備やビルの空調、エレベーターなどで50kW以上の電力需要がある場合は、高圧契約が適用されます。代表的な例としては、中規模オフィスビル、スーパーやホテル、大型飲食店の厨房設備、学校や病院の電気設備などが挙げられます。

特別高圧契約(特高)

特別高圧契約は、大規模な工場や大型商業施設、超高層ビルなど、契約電力が2,000kW以上に及ぶ非常に大きな電力需要を対象とした契約です。20,000V・60,000V・70,000Vといった非常に高い電圧となり、事業所内で複数段階の変電設備を経て電気が利用されます。
特別高圧契約の対象となるのは、年間の電気料金が数億円規模になるような大規模施設であり、一般的な中小企業が直接契約するケースはほとんどありません。

低圧・高圧・特別高圧のどれに該当するかは、現在の電力使用量や電気設備の規模から判断できます。最も確実なのは、電気料金の検針票(請求書)に記載されている契約種別を確認する方法です。契約種別名は「低圧電力」「高圧電力」などと明記されているため、まずは自社の契約区分を把握しましょう。
請求書が確認できない場合は、受電設備の有無が一つの目安になります。敷地内にキュービクルなどの受変電設備が設置されている場合は高圧以上、一般家庭と同様に引き込み線から直接分電盤へ電気が供給されている場合は、低圧契約である可能性が高いと考えられます。

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法人電気契約の料金体系と料金プラン

法人向けの電気契約における料金体系は、基本的に「基本料金(または契約料金)+従量料金」で構成されています。この点は家庭用の電気料金と同じですが、法人契約では契約電力(最大需要電力)の考え方や、選択できる料金プランの種類に特徴があります。ここでは、法人電気契約ならではの料金体系について整理していきます。

法人電気契約における基本料金

まず、法人電気契約における基本料金についてです。
基本料金は、電気を実際に使用したかどうかに関わらず、毎月固定で発生する料金です。一般家庭では契約アンペア数に応じて基本料金が決まりますが、法人契約では契約電力(kW)に基づいて基本料金が算出されます。

契約電力とは、その事業所で必要とされる最大の電力需要を指し、過去の電力使用実績や設置されている設備の容量などをもとに決定されます。たとえば契約電力が10kWの場合、10kWに所定の単価(地域や契約種別によって異なります)を掛けた金額が、毎月の基本料金となります。

基本料金は、事業規模に見合った電力供給を確保するための固定費であり、契約電力を高く設定すればするほど、その分基本料金も高くなります。一方で、契約電力を低く設定しすぎると、電力使用のピーク時にブレーカーが落ちたり、高圧契約では超過料金が発生したりする可能性があります。そのため、自社の利用状況に合った適切な契約電力を設定することが重要です。

なお、一部の新電力が提供する低圧向けプランでは、基本料金が0円のメニューもありますが、その分、従量料金の単価がやや高めに設定されるなど、全体として料金のバランスが取られています。

法人電気契約における従量料金

次に、法人電気契約における従量料金についてです。
従量料金は、実際に使用した電力量(kWh)に応じて発生する料金で、使用量に単価を掛けて計算されます。契約種別によって細かな違いはありますが、一般的には電力使用量が多くなるほど、料金単価が段階的に変化する仕組みが採用されています。

低圧契約では、家庭用と同様に「一定量までは○円/kWh、超過分は△円/kWh」といった段階制料金が適用されるケースが多く見られます。一方、高圧以上の契約では、最大全負荷料金や力率割引・割増など、より専門的な計算要素が加わることがあります。

基本的な考え方は、電力量料金=使用電力量(kWh)×単価(円/kWh)ですが、法人向けには季節や時間帯によって単価が変わるプランも存在します。たとえば、夏季の高負荷時に単価が上がるプランや、夜間の電気料金が割安になるメニューなどです。自社の電力使用パターンに合った従量料金プランを選ぶことで、電気代に大きな差が生じることもあります。

契約電力の設定

契約電力(デマンド値)の設定も重要なポイントです。契約電力は基本料金を左右する要素であり、その決め方には電力会社や契約種別ごとにいくつかの方式があります。代表的なものとして、設備容量の合計で算出する「負荷設備契約」や、実際の最大使用実績をもとに算出する「主開閉器契約」などがあります。

低圧契約では、主に動力設備の総容量から契約電力を算定するケースが多く、高圧契約では過去1年間の最大需要電力をもとに翌年の契約電力を決める方式が一般的です。この場合、デマンド値の管理が重要になります。

契約電力を過大に設定すると、必要以上に高い基本料金を支払い続けることになり、逆に過小に設定するとピーク時の超過やトラブルにつながる可能性があります。そのため、契約電力は定期的に見直すことが望まれます。電力会社との協議によって契約電力を引き下げる契約変更が可能な場合もあるため、節電対策とあわせて検討するとよいでしょう。

法人契約の料金プランの種類

料金プランの種類についても押さえておきたい点です。
電力自由化以降、法人向けにも多様な料金プランが登場しています。従来の大手電力会社では、「業務用電力」「低圧電力」「高圧電力A・B」などの標準的なメニューが中心でしたが、新電力各社は独自の割引プランや市場連動型プランを提供しています。

具体的には、基本料金がかからず従量課金のみのプラン、夜間の電気代が安くなるプラン、再生可能エネルギー100%をうたうメニュー、長期契約による割引プランなど、選択肢は多岐にわたります。契約形態によっては、1年契約や複数年契約を結ぶことで割引が適用されるケースもあります。電力会社を選ぶ際には、自社の使用状況に合った料金プランかどうかを、基本料金と従量料金のバランスや割引条件を含めて慎重に比較検討することが大切です。

このように、法人電気契約の料金体系を理解するうえでは、基本料金(契約電力)と従量料金の仕組みを正しく把握することが重要です。特に中小企業では、「契約電力の適正化」と「使用パターンに合った料金プランの選択」によって、電気代に大きな差が生まれることがあります。次章以降では、実際の契約手続きの流れや電力会社選びのポイント、さらに契約を見直す際の考え方について解説していきます。

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電気契約の手続きと必要書類(契約の流れ)

法人で新たに電気契約を結ぶ場合や、現在の電力会社から乗り換える場合には、一定の手続きが必要になります。基本的な流れは家庭向け契約と大きく変わりませんが、法人特有の確認事項や必要書類があるため、事前に全体像を把握しておくことが大切です。

現在の契約状況・新しい電力会社・料金プランの選定

まず、乗り換えを検討している場合は、現在の契約状況を確認します。
すでに他社と契約している場合は、契約名義(法人名)、契約種別(低圧・高圧など)、契約電力、契約期間や満了日、解約金の有無などをチェックしましょう。これらの情報は、検針票や契約書類に記載されています。契約満了のタイミングに合わせて乗り換えを行えば、解約違約金を回避できる場合もあるため、事前確認は重要です。

次に、新しい電力会社や料金プランを選定します。
後述する選定ポイントを参考に、複数の電力会社やプランを比較検討します。ウェブ上の比較サイトや料金シミュレーションを活用すれば、複数社の見積もりを簡単に取得できます。料金だけでなく、契約条件や付帯サービスも含めて検討し、自社に合ったプランが決まったら契約手続きに進みます。

申し込み手続き・乗り換え時の解約手続きと注意点

続いて、申し込み手続きを行います。
多くの新電力では、ウェブサイトの申し込みフォームやメール、電話などから手続きが可能です。申し込み時には、法人名や所在地、担当者の連絡先、法人番号といった会社情報のほか、供給地点特定番号(検針票に記載されている22桁の番号)、現在の契約種別や契約電力、お客様番号などの情報が求められます。

乗り換えの場合、現在契約している電力会社への解約手続きは、新しい電力会社が代行してくれるケースがほとんどで、利用者側で特別な手続きを行う必要はありません。ただし、高圧契約では、需給契約申込書への署名・捺印や、場合によっては登記簿謄本の提出を求められることがあります。具体的な案内は申し込み時に行われるため、指示に従って対応しましょう。

必要書類の提出と契約開始

次に、必要書類の提出です。
低圧の法人契約であれば、ウェブ申し込みのみで完結し、書類提出が不要なケースも少なくありません。一方、高圧や特別高圧契約では、契約書への署名・捺印が必要になります。また、需要設備の新設を伴う契約の場合には、電気設備の単線結線図や負荷明細書などの提出を求められることもあります。必要書類は契約種別や契約内容によって異なるため、電力会社から案内された書類を漏れなく準備することが重要です。

申し込みと書類提出が完了すると、契約開始(開通)となります。
契約開始日、いわゆる供給開始日は電力会社から通知されます。低圧契約の乗り換えでスマートメーターが設置されている場合、原則として工事や立ち会いは不要で、遠隔操作により切り替えが行われます。高圧契約でも基本的には書面上の手続きのみで完了しますが、新たにキュービクルを設置して受電を開始する場合などには、電力会社との事前調整や受電時の立ち会いが必要になることがあります。

契約開始日以降は、新しい電力会社から電気の供給が始まり、電気料金の請求先も新しい契約先に切り替わります。なお、電力会社を乗り換えても停電が発生することは基本的にありません。電気の供給自体は、これまでと同じ送配電網を通じて継続されます。

契約手続きを進める際のポイント

最後に、契約手続きを進めるうえでのポイントです。 法人契約では、実際の申し込み手続きに加えて、事前の見積もり取得や社内稟議に要する時間も考慮する必要があります。特に高圧以上の契約では、契約開始希望日の1〜2か月前には問い合わせや見積もり依頼を行い、余裕を持って契約書類の準備を進めるのが理想的です。 本店と支店、複数店舗で電力会社を統一したい場合には、一括見積もりに対応してもらえることもあります。また、電力会社によっては無料で電力使用量の診断やアドバイスを行っている場合もあるため、契約前に相談してみるのも一つの方法です。

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法人が電力会社を切り替えるメリットと注意点

現在契約している電力会社から、新電力や別の料金プランへ切り替えることで、法人にはさまざまなメリットが期待できます。一方で、事前に確認しておくべき注意点も存在します。ここでは、法人が電力会社を乗り換える際に得られる主なメリットと、あらかじめ押さえておきたい留意事項について整理します。

切り替えのメリット

まず、切り替えによる最大のメリットは、電気料金の削減が期待できる点です。
新電力各社が競争する中で、自社の電力使用量や使用パターンに合った料金プランを選べば、電気代を抑えられる可能性があります。たとえば、基本料金が一定割合割引されるプランや、従量料金の単価が現在より数円安いプランに切り替えるだけでも、年間で数万円から数十万円単位のコスト削減につながることがあります。特に電力使用量の多い法人ほど、その効果は大きくなりやすい傾向にあります。ただし、実際の削減額は使用条件によって大きく異なるため、事前にシミュレーションを行い、具体的な数字で確認することが重要です。

電力会社の切り替えは、契約内容を最適化する良い機会でもあります。
現在の契約が必ずしも自社の実情に合っているとは限りません。乗り換えを検討する過程で、契約電力が過大であることや、より適した料金プランが存在することに気付くケースも多くあります。新しい電力会社の担当者から提案を受ける中で、「契約電力を下げても問題ない」「このプランを選べば無駄なコストを減らせる」といった見直しにつながることもあります。単なる会社変更ではなく、電気契約全体を見直すタイミングと捉えることが大切です。

また、付加サービスを利用できる点も見逃せないメリットです。
電力会社を切り替えることで、これまで利用できなかったサービスを受けられる場合があります。たとえば、再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることで環境配慮への取り組みをアピールできたり、電気とガスをまとめて契約することで経費管理を簡素化できたりします。エネルギー使用状況のレポート提供や節電診断など、業務効率化や省エネにつながる支援を受けられることもあります。こうした付加価値は、コスト削減だけでなく、企業イメージの向上やCSRへの貢献という点でもメリットになります。

長期契約による割引や、安定した電力調達が可能になる点も利点の一つです。
電力会社によっては、複数年契約を結ぶことで料金が割引されるプランを用意しています。長期契約を前提とすることで、電力会社側も安定した供給計画を立てやすくなり、その分を料金に反映する仕組みです。また、市場連動型プランなどを活用し、調達コストの低減分を料金に反映するタイプの契約もあります。適切なプランを選べば、将来的な電力価格の変動リスクに備えながら、コストメリットを享受することも可能です。

なお、電力会社を切り替えても、停電のリスクや電力品質が変わることはありません。
送配電網は地域の一般送配電事業者が管理しており、どの小売電気事業者と契約しても、同じ電線を通じて電気が供給されます。そのため、「新電力に変えると停電が増えるのでは」といった心配は不要です。切り替え手続きも比較的簡単で、申し込みを行えば旧契約の解約手続きは自動で進みます。工事やメーター交換も原則不要なため、業務に支障をきたすことなく乗り換えられる点もメリットと言えるでしょう。

切り替えのデメリット

一方で、切り替え時にはいくつか注意すべき点もあります。
まず確認しておきたいのが、現在の契約における契約期間や解約違約金の有無です。契約期間中に解約すると違約金が発生する場合があるため、可能であれば更新月や満了月に合わせて切り替えるのが理想です。やむを得ず途中解約する場合は、違約金と電気代削減額を比較し、総合的に損得を判断する必要があります。また、新しい契約先でも契約期間や解約条件が設定されることがあるため、事前に内容をよく確認しておきましょう。

料金単価以外のコストにも注意が必要です。
基本料金や従量料金が安く見えても、別途手数料やサービス料金が発生する場合があります。請求書発行手数料や再生可能エネルギー証書の費用、市場価格調整額など、見積もりに含まれていない費用がないかを確認することが重要です。特に市場連動型プランでは、電力市場価格が高騰した際に料金が大きく上がる可能性があるため、そのリスクを許容できるかどうかも検討材料になります。

電力会社の信頼性についても慎重に判断する必要があります。
新電力の中には、経営環境の悪化によって事業継続が難しくなるケースもあります。万が一、契約先が供給停止となった場合でも、最終的には地域電力による救済供給が行われますが、手続きの煩雑さや料金面でのデメリットが生じることもあります。一時的な安さや派手な宣伝に惑わされず、会社の規模や実績、サポート体制などを総合的に見て判断することが大切です。

また、すべてのケースで自由に切り替えができるわけではありません。
たとえば、テナントビルでオーナーが電力を一括契約し、共益費として各テナントに転嫁している場合は、個別に電力会社を変更できないことがあります。そのほか、自家発電設備との兼ね合いや、他のサービスとセットになった特別なプランを契約している場合も注意が必要です。こうした特殊な契約形態に該当する場合は、事前に管理会社や現在の契約先へ確認しておくと安心です。

以上のようなメリットと注意点を踏まえたうえで準備を進めれば、電力会社の切り替えは中小企業にとって大きな効果をもたらす可能性があります。次章では、自社にとって最適な電力会社を選ぶための、より具体的な考え方や進め方について解説していきます。

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中小企業に最適な電力会社選定ガイド

最後に、中小企業が自社に合った電力会社・プランを選ぶための手順をガイド形式でまとめます。初めて電気契約の見直しに取り組む担当者でも、このステップに沿って進めればスムーズに比較検討ができるでしょう。

Step 1:自社の電力使用状況を把握する
まずは現状分析です。過去1年分ほどの電気使用量データを用意し、月ごとの使用量や電気代、最大需要電力(デマンド値)を確認します。電気の使い方(昼夜の使用バランス、季節変動、ピーク時の時間帯など)も把握しましょう。「どのくらいの電力をいつ使っているか」を知ることで、最適な契約プランの条件が見えてきます。電力会社から提供されているWEBサービスや検針票の記録を活用するとデータ収集が容易です。

Step 2:現在の契約内容を確認する
次に現在の契約条件を洗い出します。契約種別(低圧・高圧)、契約電力〇kW、基本料金単価、従量料金単価(何円/kWh)、契約期間と満了日、解約金の有無などをリストアップしてください。これが他社プランと比較する際のベースラインになります。契約書類や請求書に記載がありますし、不明点は現在契約中の電力会社に問い合わせれば教えてもらえます。

Step 3:候補となる電力会社・プランを調べる
インターネットで公開されている情報や一括見積もりサービスなどを利用して、自社に提供可能な電力会社とプランをリストアップします。地域や契約種別によって選べる新電力が異なるため、「高圧 電気料金 比較」「◯◯県 法人電力 おすすめ」といったキーワードで検索すると良いでしょう。新電力各社の公式サイトに料金シミュレーション機能がある場合もあります。また、中立的な立場のエネルギーコンサルタント企業や代理店に相談すると、一度に複数社の見積もりを取得できるので便利です。

Step 4:料金シミュレーションと比較検討
候補プランについて、現在と同じ使用条件で電気代を試算します。各社の見積もりやシミュレーション結果を比較し、最もコストメリットの大きいプランを絞り込みましょう。同時にStep2で整理した契約条件(期間・違約金等)も踏まえて、総合的に判断します。例えば「A社は年間▲10%安くなるが2年契約縛りあり、B社は▲8%安いが解約自由」など、それぞれメリット・デメリットがあります。自社の方針に合ったプランを選択してください。

Step 5:付加価値や信頼性も考慮する
料金以外の要素も比較します。提供サービスの付加価値(省エネ提案、再エネ電力、ポイント還元など)や、電力会社の信頼性・実績、サポート体制といった点です。中小企業の場合、料金だけに目を奪われると後で困ることもあります。例えばサポートが悪いと契約後にトラブル対応で手間取るかもしれません。少しの差額であれば、総合的に安心して任せられる会社を選ぶのが賢明です。

Step 6:無料相談や専門家の意見を活用する
比較検討して疑問点があれば、遠慮なく各社の営業担当に質問しましょう。さらに不安な場合は第三者の専門家に相談するのも有効です。エネルギーコンサル会社や自治体の相談窓口など、中立的な立場でアドバイスをくれるところもあります。また信頼できる新電力会社の中には無料相談を受け付けているところもあります。こうしたサービスを利用すれば、自社だけでは気付けない最適プランを提案してもらえるでしょう。

以上のステップを踏めば、自社にとって最適な電力会社・契約プランが見えてくるはずです。中小企業の場合、電気代の見直しはコスト削減の即効性が高い取り組みです。ぜひ本記事の内容を参考に、自社の電気契約をチェックしてみてください。「うちは電気代を見直しても大した効果はない」と思われるかもしれませんが、実際には契約の切り替えだけで年間数万円~数十万円の節約事例もあります。専門知識がなくても、まずは情報収集と相談から始めてみましょう。

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参照

e-Gov法令検索:電気事業法
https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170

資源エネルギー庁:電力システム改革について
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/system_reform.html

経済産業省:電気設備の技術基準の解釈
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/20241022-4.html

電力・ガス取引監視等委員会:電力取引の状況
https://www.egc.meti.go.jp/info/business/report/results.html

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