2025年の再エネ賦課金はどう変わる?単価・推移・影響を詳しく解説
再エネ賦課金とは?2025年は3.98円/kWh

更新日:2025年5月31日
再生可能エネルギーの普及を支える仕組みとして導入された「再エネ賦課金」。2025年にはどのような変化が見込まれるのでしょうか。再エネ賦課金は、電気を使用するすべての消費者が負担する料金であり、再生可能エネルギーの普及促進を目的としています。2025年の単価や政策動向が気になる方も多いはずです。
再エネ賦課金は、毎年の電力市場の動向や政府のエネルギー政策によって変動します。近年、再生可能エネルギーの導入が進んでいる一方で、エネルギー価格の高騰や国際的な経済状況の影響も受けており、2025年の再エネ賦課金も大きな注目を集めています。本記事では、2025年の単価、過去の推移、そして今後の展望について詳しく解説していきます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金の基本仕組み
再エネ賦課金は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによって発電された電力を電力会社が一定の価格で買い取る制度(FIT制度)を支えるために、電気料金に上乗せされる費用です。すべての電気利用者がこの負担をすることで、再生可能エネルギーの普及が促進される仕組みとなっています。
この制度では、再生可能エネルギーで発電された電力は固定価格で買い取られるため、発電事業者は安定した収益を確保でき、新たな設備投資を行いやすくなります。しかし、買い取り費用の増加に伴い、再エネ賦課金の負担も年々増加しています。政府は、FIT制度からFIP制度(市場連動型支援)への移行を進めるなど、負担軽減策を講じていますが、2025年の単価がどのように推移するかは注目されるポイントです。
2025年の単価とその推移
再エネ賦課金の単価は毎年見直され、過去数年間で増加傾向にあり、2025年には3.98円/kWhにまで増加しました。単価は、再生可能エネルギーの導入量や電力市場の状況、政府の支援策によって決定されます。
例えば、再エネの導入が進むほど、買い取り費用が増加し、賦課金も上昇する可能性があります。一方で、政府が補助金を拡充した場合、単価の上昇は抑えられることもあります。
賦課金の仕組みと目的
再エネ賦課金の目的は、再生可能エネルギーの普及を促進し、持続可能なエネルギー社会を実現することにあります。この賦課金を通じて、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入が加速し、温室効果ガスの排出削減にも貢献しています。
ただし、消費者の負担が年々増加していることも事実です。そのため、政府は賦課金の仕組みを見直し、FIP制度の導入や電力市場の自由化を進めることで、負担を軽減する取り組みを行っています。特に、電力の需給バランスを考慮しながら、より効率的に再生可能エネルギーを活用するための制度改革が進められています。
2025年以降も、再エネ賦課金の役割は重要であり続けるでしょう。しかし、負担の公平性や電気料金への影響についての議論も活発化しており、今後の政策動向には引き続き注目が必要です。
2025年の再エネ賦課金はいくら?具体的な料金シミュレーション

2025年の再エネ賦課金の単価は3.98円/kWhと、政府のエネルギー政策や電力市場の動向によって決定されました。
消費者にとって重要なのは、この再エネ賦課金が電気料金にどのように影響するのかという点です。1kWhあたりの単価が上昇すると、電力消費量が多い家庭や企業ほど負担が増加します。では、具体的な電気料金シミュレーションを見ていきましょう。
世帯ごとの電気料金への影響
家庭での電力使用量は、家族構成やライフスタイルによって異なりますが、一般的な目安として以下のようなシミュレーションが考えられます。
【シミュレーション例(2025年)】
2025年の再エネ賦課金単価が3.98円/kWhになったので、世帯ごとの負担額は次のようになります。
- 1人暮らし(使用量200kWh/月)
3.98円 × 200kWh = 796円/月(年間9,552円) - 3~4人家族(使用量400kWh/月)
3.98円 × 400kWh = 1,592円/月(年間19,104円) - 5人以上の家庭(使用量600kWh/月)
3.98円 × 600kWh = 2,388円/月(年間28,656円)
このように、家庭の電力使用量が多いほど負担額は増加します。特に、エアコンや電気温水器を多用する家庭では、電気料金の上昇が顕著になるため、省エネ対策が必要になります。
産業・企業の負担額はどう変わる?
企業や工場では、電力使用量が家庭よりも圧倒的に多いため、再エネ賦課金の影響はさらに大きくなります。特に、中小企業のオフィス、大規模な工場、商業施設などでは、電力消費量に応じて数十万円から数百万円単位で負担が増加する可能性があります。
中小企業では、月間の電力使用量が10,000kWhの場合、再エネ賦課金を3.98円/kWhとすると、月額38,000円、年間で456,000円の負担となります。
大規模な工場では、月間の電力使用量が100,000kWhに達することもあり、同じ単価で計算すると、月額380,000円、年間では4,560,000円のコスト増加となります。
さらに、商業施設のように大規模な事業者では、月間500,000kWhを消費するケースもあり、再エネ賦課金の負担は月額1,900,000円、年間で22,800,000円にもなります。
このように、電力使用量の多い事業者ほど再エネ賦課金の影響を大きく受けることになります。特に、製造業や物流業など電力を大量に消費する業種では、エネルギーコストが経営に与える影響が無視できないレベルになります。そのため、省エネ設備の導入や電力プランの見直しが重要になります。
再エネ賦課金の計算方法
再エネ賦課金は、使用した電力量(kWh)に単価(円/kWh)を掛けることで算出されます。
【計算式】
再エネ賦課金 = 電力使用量(kWh) × 再エネ賦課金単価(円/kWh)
例えば、1ヶ月の電力使用量が500kWhの家庭で、2025年の再エネ賦課金単価が3.98円/kWhなので、以下のように計算できます。
500kWh × 3.98円 = 1,990円(1ヶ月分の負担額)
この計算方法はシンプルで、家庭や企業に関係なく適用されます。つまり、電力を多く使うほど、賦課金の負担も増えることになります。
今後の再エネ賦課金の単価変動を見据え、家庭でも企業でも電力使用の最適化を進めることが、賦課金の負担軽減につながります。
再エネ賦課金が上昇する要因と背景

再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの普及を支える仕組みとして導入されましたが、その負担額は年々上昇傾向にあります。2026年以降もこの流れが続くと予想されており、電気料金への影響が懸念されています。では、なぜ再エネ賦課金が上昇するのか、その背景を詳しく見ていきましょう。
最大の要因は、再生可能エネルギーの導入拡大です。政府は温室効果ガスの削減を目指し、再エネの比率を高める政策を推進しています。その結果、太陽光や風力発電の導入が加速し、それに伴い電力会社が買い取る再エネ電力の総量が増加。これが賦課金の増加につながっています。
また、国際的なエネルギー市場の変動も影響を与えています。ロシア・ウクライナ問題や中東情勢の不安定さによって、化石燃料価格が乱高下しており、それが電力市場全体のコストに影響を及ぼしています。結果的に、再エネ導入がさらに進むことで、賦課金の負担も増すという状況になっています。
さらに、再エネ賦課金の減免措置や補助金制度の見直しも、負担増の一因となる可能性があります。これまで政府は、電気料金の高騰を抑えるために一部補助を実施してきましたが、今後は政策の転換により負担が増える可能性もあるため、最新の動向を注視する必要があります。
再生可能エネルギー導入の拡大
日本政府は、「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けて、再生可能エネルギーの導入を急速に進めています。2025年には、より多くの太陽光発電・風力発電の設備が新設される予定であり、それに伴い再エネ賦課金の負担も増えました。
特に、再エネの中でも太陽光発電の普及が加速しています。企業や自治体によるメガソーラーの建設だけでなく、一般家庭向けの屋根置き太陽光の普及も進んでおり、発電量の増加によって電力会社の買い取りコストも上昇。その結果、消費者が負担する賦課金も上昇するという流れが生まれています。
一方で、風力発電や洋上風力発電の拡大も大きな影響を及ぼします。政府は、洋上風力発電を国家戦略の一環として推進しており、2030年までに大規模な導入を予定しています。これにより、買い取り費用の増加が見込まれ、再エネ賦課金のさらなる上昇につながる可能性があります。
また、蓄電技術の進化により、再エネの安定供給が進む一方で、そのインフラ整備にもコストがかかるため、再エネ賦課金に影響を与える可能性があります。政府や電力会社がどのようなコスト負担の分配を行うかによって、消費者の負担額が変わるため、今後の動向が注目されます。
賦課金が電気料金に与える影響
再エネ賦課金の上昇は、消費者の電気料金に直接的な影響を及ぼします。では、具体的にどのような影響があるのでしょうか。
一般家庭の電気料金では、1ヶ月あたりの負担額が数百円~数千円程度増加する可能性があります。特に、電気使用量の多い家庭では、負担額が顕著に増えるため、省エネ対策がより重要になります。
また、産業・企業への影響も深刻です。特に製造業や物流業など、電力を大量に消費する業種では、再エネ賦課金の上昇が経営コストの増大につながります。そのため、省エネ設備の導入や電力プランの見直しを進める企業が増えており、電力の「自家消費」へのシフトも進んでいます。
さらに、電力自由化により、再エネ賦課金の負担がどのように変わるのかも注目されています。一部の電力会社では、再エネ賦課金を抑えるための特別プランを提供する動きもあり、消費者は契約内容を見直すことで、負担を軽減できる可能性があります。
2025年の政策と市場動向
2025年の再エネ賦課金を左右する大きな要因の一つが、政府のエネルギー政策です。現在、日本政府はエネルギー基本計画を進めており、再生可能エネルギーの導入拡大を掲げています。特に、以下の3つの政策が再エネ賦課金に影響を与える可能性が高いです。
FIT制度からFIP制度への移行
FIT(固定価格買取制度)からFIP(市場連動型買取制度)への移行が進められており、再エネ発電事業者の収益構造が変化しています。これにより、一部の発電事業者は市場価格の変動に応じた電力供給を行うようになりますが、買い取り価格が低下すれば、再エネ賦課金の上昇が抑えられる可能性があります。
電気料金補助の継続・縮小
2023年から2024年にかけて、政府は電気料金の負担軽減のために補助金を提供していました。しかし、2025年以降、この補助が縮小される可能性が高く、再エネ賦課金の負担が直接的に消費者にのしかかるリスクがあります。
送電網の強化と蓄電技術の発展
再生可能エネルギーの拡大に伴い、送電網の強化や蓄電設備の導入が進められています。特に、電力の安定供給を確保するためのインフラ投資が増加することで、再エネ関連のコストが増え、それが最終的に再エネ賦課金の上昇要因となる可能性があります。
今後、再エネ賦課金の上昇がどの程度続くのか、政府の政策や市場の動向を注視しながら、消費者としても適切な対策を取ることが求められます。
再エネ賦課金の負担を軽減する方法

再エネ賦課金は、日本の再生可能エネルギー導入を支える重要な仕組みですが、消費者や企業にとっては電気料金の負担増につながる要素でもあります。2025年にはさらなる上昇が予測されるため、どのように負担を軽減できるかを考えることが重要です。本章では、賦課金の減免制度の活用や、自家発電・省エネ対策、電力会社の料金プランの見直しといった具体的な方法を紹介します。
賦課金の減免制度とは?
再エネ賦課金には、特定の条件を満たす場合に適用される減免制度が存在します。これは、電気料金の負担が大きい企業や団体を対象に、一定の基準を満たせば賦課金の一部または全部を免除する仕組みです。
電気多消費事業者向け減免制度では、大量に電力を消費する産業(鉄鋼、化学、製造業など)を対象に、一定の条件を満たせば再エネ賦課金の減免が可能になります。申請を行うことで、最大80%程度の減免が受けられるケースもあります。
また、福祉施設・公益事業向け減免制度では、病院や福祉施設、教育機関など、社会的に重要な事業を営む施設が対象となります。申請を行うことで、一部または全部の賦課金が免除される可能性があります。
さらに、特定契約による減免では、一部の電力会社が大口契約を結ぶことで賦課金の負担を軽減するプランを提供しています。法人向けの特別契約や長期契約を結ぶことで、賦課金を抑えることが可能になります。
自家発電・省エネの活用で節約
再エネ賦課金の負担を抑える方法として、「自家発電」と「省エネ」の活用が有効です。電気の使用量を減らすことで、賦課金の計算対象となる電力量(kWh)を削減し、結果的に負担を軽減できます。
また、太陽光発電の導入では、自宅や企業の屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電気を自家消費することで、電力会社からの購入量を減らすことが可能になります。余った電力は売電も可能ですが、近年は売電価格が下がっているため、自家消費型のシステムが推奨されています。
蓄電池との併用では、太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めて、夜間や電気料金が高い時間帯に利用することで、電気料金の削減につながります。停電時のバックアップ電源としても利用でき、災害対策にもなります。
コージェネレーションシステム(ガス発電)では、天然ガスを利用した小規模発電設備を導入し、自家発電と同時に排熱を利用することでエネルギー効率を向上させます。一定の初期投資は必要ですが、企業や大型施設では長期的に見るとコスト削減につながります。
電力会社の料金プランを見直す方法
電力自由化により、現在はさまざまな電力会社が独自の料金プランを提供しています。賦課金の負担を抑えるために、電力会社のプランを見直すことも有効な手段の一つです。
時間帯別プランの活用では、一部の電力会社が夜間の電気料金が安くなるプランを提供しており、夜間に電気を多く使う家庭や企業では、電気料金の削減につながります。
また、再エネプランの選択では、一部の電力会社が再エネ比率の高い電力プランを提供しており、これを選択することで環境負荷を減らしつつ、賦課金の一部を相殺できる可能性があります。
他にも、セット割引の活用では、ガスやインターネットとセットで契約することで、電気料金が割引になるプランもあります。特に家庭向けには、通信費と電気料金をまとめることで、全体のコストを抑えられる可能性があります。
電力会社ごとのプランを比較し、ライフスタイルや電力使用状況に合ったものを選ぶことで、再エネ賦課金の負担を抑えることが可能になります。
2025年以降の再エネ賦課金の展望

2025年以降、再エネ賦課金はどのように推移していくのでしょうか。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、賦課金の負担増が懸念される一方で、政府はさまざまな対策を進めています。特に、電力市場の自由化や補助金制度の見直し、再エネ発電の価格低下などの要因が、今後の賦課金制度に大きな影響を与えると考えられます。
また、2030年に向けた再生可能エネルギーの拡大計画が進行中であり、その中で賦課金制度の見直しがどのように行われるかも注目ポイントです。本章では、政府のエネルギー政策の方向性や賦課金の将来的な変化について詳しく解説します。
政府のエネルギー政策の方向性
日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げ、再生可能エネルギーの導入を強化しています。そのため、エネルギー政策は今後も再エネ普及を後押しする方向で進められると考えられます。
再エネ比率の引き上げでは、政府は2030年までに電源構成の36~38%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としており、2035年にはさらに拡大する方針です。これに伴い、新たな再エネ発電設備の導入が進み、賦課金の負担にも影響を与える可能性があります。
FIP制度(市場連動型価格補助)の本格運用では、FIT(固定価格買取制度)からFIP(市場価格連動型補助制度)への移行が進められています。発電事業者が市場価格に応じた売電を行うことで、買い取りコストの抑制を目指しています。これにより、再エネ賦課金の上昇を抑えつつ、発電事業者の競争を促進する狙いがあります。
送電網の強化と電力市場改革では、再生可能エネルギーの発電量が増える中、送電網の強化が急務とされています。政府は、大規模な送電網の整備や分散型電源の導入を推進することで、効率的な電力供給を目指しています。
電気料金補助の継続・見直しでは、2023~2024年に実施された電気料金の補助金制度が2025年以降も一部継続される可能性があります。ただし、財政負担の観点から補助額が縮小される可能性もあり、賦課金の負担が直接的に消費者にのしかかるリスクも考えられます。
政府のエネルギー政策が今後どのように進むかによって、再エネ賦課金の推移も大きく左右されるため、今後の政策決定には注目が必要です。
2030年に向けた再エネ拡大計画
2030年に向けたエネルギー政策の中で、再生可能エネルギーの導入拡大は重要なテーマとなっています。特に、太陽光発電や風力発電の大規模導入が予定されており、賦課金制度の仕組みもそれに伴って変化していくと考えられます。
洋上風力発電の大規模展開では、政府は2030年までに10GW以上の洋上風力発電を導入する計画を進めており、長期的に安定した電力供給を目指しています。これにより、買い取り費用の増加が見込まれるものの、発電コストが低下すれば賦課金の上昇も抑えられる可能性があります。
また、水素エネルギーの活用では、日本政府は再エネ由来の水素を活用した新たなエネルギーシステムの構築を推進しており、2030年までに大規模な水素発電施設の導入を計画しています。これにより、電源の多様化が進み、賦課金の仕組みにも影響を与える可能性があります。
さらに、再エネ発電コストの低下では、太陽光や風力発電の技術進歩により、発電コストが年々低下しています。2030年までに、再エネの発電コストが従来の火力発電並みに下がると予測されており、これが実現すれば賦課金の負担軽減につながる可能性があります。
2030年のエネルギー政策は、再エネの導入拡大と同時に、電力の安定供給やコスト低減を目指す方向で進められています。そのため、再エネ賦課金の今後の動向もこれらの政策に大きく影響を受けることになります。
賦課金制度の今後の見直しと可能性
再エネ賦課金制度は、持続可能なエネルギー社会を支える重要な仕組みですが、消費者の負担増が問題視される中、制度の見直しが進められています。
FIP制度の本格適用では、FIT制度に代わるFIP制度(市場価格連動型補助制度)が本格化すれば、発電事業者の自立化が進み、賦課金の抑制が期待できます。
また、段階的な負担軽減策の導入では、消費者の負担を軽減するための補助金制度が一部継続される可能性があり、特定の条件を満たす世帯や企業には賦課金の一部を免除する措置が導入されるかもしれません。
さらに、再エネ発電の価格低下による自然減では、再エネ発電のコストが低下すれば、賦課金の必要額も減少し、結果的に消費者の負担も軽くなる可能性があります。
再エネ賦課金は、エネルギー政策の転換や市場の変化に応じて見直される可能性が高いため、今後の動向を注視することが重要です。