GREEN100で電気代が大幅激減。環境を守りながら3代続く老舗そば店

電力コストが燃料調達費導入前の水準に

導入のきっかけは、1996年から導入された燃料調達費が2022年まで高騰し続け、電気代がそれまでの2倍にまで跳ね上がったことです。U-POWERさんから電力切り替え案内をいただいたことがきっかけで、店のスタッフと相談し、環境に優しく、さらに電気代も安くなるGREEN100に切り替えることにしました。

2011年の東日本大震災の際に福島第一原子力発電所事故があって以来、電気に関する問題が自分たちにも関わる問題だと強く感じていました。また、地球温暖化についてもニュースで頻繁に目にすることで、環境への意識が高まっていたため、以前からこうした問題には意識を持っていたので、良いタイミングだったと思います。

今は電気代が燃料調達費の導入前の金額まで戻りました。店内では、大型の冷蔵庫をはじめ空調設備などで多くの電力を消費しているため、電力の節約は非常に大きな助けとなっています。

地元磐梯町産そば粉100％使用の「高遠そば」が人気

当店は、1989年（平成元年）に祖父が定年退職後に始めたお店です。父が２代目として店を継ぎ、私が3代目を継いで23年が経ちます。子どもの頃から、祖父がそばを打つ姿を見て育ちました。高校を卒業してから祖父にそば打ちを教わり、東京の八王子で5年間修業を積み、地元に戻ってきました。

祖父は、そばを提供するだけでなく、全国のそば職人たちにそば打ちを教えていました。7年前に亡くなりましたが、祖父のお弟子さんたちは、現在全国各地でそば店を開いています。今は父が弟子をとり、時々私も教えることがあります。

一番の人気メニューは「高遠（たかとお）そば」です。このそばは、江戸時代に会津藩主だった保科正之（ほしな まさゆき）に由来し、高遠で育った彼が高遠の地から会津に伝えたとされています。現在では福島県や長野県で親しまれているそばで、辛味大根を薬味に、大根のおろし汁をつゆに加えていただくのが特徴です。大根の辛みがつゆにコクを加え、そばの風味を一層引き立てています。季節によって辛さを調整しており、夏にはさっぱりとした味わいが楽しめるのもこのそばの魅力です。

会津地方の冠婚葬祭において、そばは地元の文化や食習慣に深く根ざした大切な存在。当店では、その伝統を尊重し、磐梯町産のそば粉100％を使用して、地域に根ざした味わいを大切にしています。

台風シーズンと重なるそばの収穫期 年々増す被害への不安

磐梯町は夏と冬、また昼と夜の温度差が顕著なので、そばの生産に非常に適した土地なんです。昼間は日差しで気温が上がりますが、夜や冬は気温が下がる。この寒暖差がそばの実を引き締め、風味を豊かにします。また、日中の日当たりが良いため、作物の生育が促進され、質の高いそばが育ちます。

そばの収穫期は9月から11月にかけてですが、近年は地球温暖化の影響もあり、その時期に台風が来ることが増えています。被害が年々大きくなっているため、毎年「今年は大丈夫だろうか」と心配しています。

一方で、水不足に悩まされる年もあります。2023年は降雨量が例年より少なかったうえに高温が続いたので、河川や貯水量が減少し、そばの実の収穫量が激減してしまいました。私たちのところでは何とか半分くらいは収穫できましたが、全く収穫できなかった地域もあります。今年は幸いにも雨が降ったので安心していますが、あとは台風の影響がないことを祈るばかりです。

自然の影響が大きいからこそ、そばを作り続けるのは簡単ではありません。しかし、その分、環境を大切にしなければならないと強く感じています。

野菜くずは畑の肥料に かぼちゃの種から新芽が育つ

環境を守るための日々の取り組みとして、野菜くずを捨てずに店の前と裏にある畑にまいて肥料にしています。野菜くずが自然に分解されることで、土に栄養が戻り、環境に負担をかけずに野菜がよく育つんです。畑では、なすやピーマン、みょうが、うどなどを栽培。昨年、かぼちゃの種をいつも通り畑にまいたところ、今年になって自然に芽が出てきたんですよ。これは本当に嬉しかったですね。無駄なく作物が育つことを実感できました。

私が子どもの頃に比べて、近年は気温が上昇しており、農作物の育ちにも影響が出ています。そんな中、GREEN100は実質的に再生可能エネルギーを使っているので、普段通りに電気を使うだけで地球温暖化対策に貢献できるのが魅力的です。これからも無駄なごみを出さず、電気の無駄遣いもしないよう心がけ、環境にやさしい取り組みを続けながら、皆さんに喜んでもらえるそばを作り続けていきたいと思います。

【店舗情報】

磐梯そば道場

https://hitosara.com/0031210294/

◎住所

福島県耶麻郡磐梯町磐梯十王堂２０３８