法人必見!高圧電気料金の削減ポイントと注意点
高圧電気料金の基本を理解しよう

更新日:2026年8月19日
高圧電気料金とは、工場や商業施設など高い電力需要がある事業者向けの電気料金体系です。一般家庭向けの低圧電力とは違い、高圧電力では基本料金と使用量に応じた料金の両方を組み合わせた仕組みになっています。
高圧電力は、一般的に受電電圧が6,000V前後の電気で、契約電力が50kW以上2,000kW未満の場合に適用されます。50kW以上500kW未満は高圧小口として、小規模な工場やビルで使われ、大きい需要がある場合には500kW以上の高圧大口契約が適用されることがあります。
家庭向けでは契約容量が小さく、使用した電力量に対して単純に料金がかかる形式ですが、高圧電気料金は契約時の決め方次第で毎月の料金が大きく変わるのが特徴です。例えば、契約電力が大きいほど基本料金が高くなるため、日々の使用量を減らしても料金があまり下がらないと感じることがあります。
高圧電気料金を理解するには、まずこの「基本料金と使用量料金の両方がある」という構造を押さえ、なぜ固定費部分が大きいのかを知ることが重要です。
高圧電気とは?
高圧電気とは、いわゆる一般向けの電気とは違い、高い電圧で供給される電力を指す用語です。法律上は交流で600Vを超え7,000V以下と定められており、日本では一般的に6,000Vを高圧電力として扱います。これは送電ロスを少なくし、大きな電力を効率よく供給するための仕組みです。
高圧電力が使われる場所としては、工場の生産設備や商業ビルの空調、大型のオフィスビル、病院など電力需要が大きい施設が典型です。こうした施設では、一日に数千kWh以上の電力が必要なため、低圧のままでは効率的に供給できません。
契約区分としては、契約電力が50kW以上500kW未満の場合が「高圧小口」、500kW以上2,000kW未満が「高圧大口」とされます。どちらも供給電圧は同じですが、料金の決め方や必要な設備規模が変わるため、契約前には自社の使用実績を確認し適切な区分を選ぶことが大切です。
高圧電気という言葉は単に電圧の高さを示すだけでなく、料金体系や契約形態に直結する重要な概念です。ここをきちんと押さえることで、以降の電気料金の仕組みが理解しやすくなります。

高圧電気料金の構成要素
高圧電気料金は複数の要素を組み合わせて算出されます。大きく分けると、基本料金、電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金の三つです。多くの電力会社ではさらに燃料費調整額が加減算され、合計したものが請求金額になります。
まず基本料金は、電気をどれだけ使ったかにかかわらず毎月発生する固定費です。契約電力と力率に応じて決まり、契約電力が大きいほど基本料金も高くなります。力率が良い(効率よく電力を使っている)場合には割引が適用され、逆に力率が低いと割増になる仕組みです。
次に電力量料金は、使用した電力量(kWh)に応じて請求される部分で、これは従量制の料金です。電力量料金は契約プランによって単価が違い、季節や時間帯によって変わる場合もあります。
さらに、多くのプランでは燃料費調整額が加わります。これは燃料価格の変動を反映した調整分で、使用電力量に応じて増減します。さらに再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーの普及のために全ての需要家が負担する費用です。
これら複数の要素を理解することで、高圧電気料金がどのように算定されるかをより正確に把握できます。用途や供給条件に応じて構成が変わる点も意識しましょう。
高圧電気料金の計算方法

高圧電力の電気料金は、複数の要素を組み合わせて算出されます。基本となるのは基本料金、電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の3つです。多くの電力会社が提供している固定単価プランでは、これらに加えて燃料費調整額が加減算される仕組みになっています。
計算式で表すと、電気料金の全体像は次のようになります。
電気料金=基本料金+電力量料金(±燃料費調整額)+再生可能エネルギー発電促進賦課金
一方で、市場連動型プランの場合は燃料費調整額が設定されないことが一般的です。これは、電力の調達価格が日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に連動し、その変動が電力量料金に直接反映されるためです。どのプランを選ぶかによって、料金の変動要因が異なる点を理解しておくことが重要です。
基本料金の計算方法
基本料金は、電気の使用量にかかわらず毎月発生する固定費であり、高圧電気料金の中でも大きな割合を占めます。基本料金は契約電力と力率をもとに算出されます。
計算式は以下の通りです。
基本料金=基本料金単価×契約電力×力率割引・割増係数
基本料金単価は、契約している小売電気事業者や料金プラン、供給電圧などによって異なります。契約電力が大きくなるほど、単純に基本料金も高くなるため、契約時の設定は非常に重要です。
また、力率とは、送電された電力のうち実際に有効に使われた電力の割合を示す指標です。高圧電力では85%が標準とされており、85%を超えると割引、下回ると割増が適用されます。超過または未達の1%ごとに基本料金が1%ずつ変動する仕組みです。
例えば、力率が100%の場合は最大で15%の割引が適用され、基本料金を抑えることができます。このため、力率改善は高圧電力を利用する事業者にとって、重要なコスト管理のポイントになります。
使用量に基づく料金計算
使用量に基づく料金は、主に電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金の3つで構成されます。
まず電力量料金は、実際に使用した電力量に応じて発生する従量課金部分です。
電力量料金=電力量料金単価×使用電力量
電力量料金単価は契約時に定められますが、プランによっては季節や時間帯ごとに単価が異なる場合があります。一般的には、夏季とその他季で区分されることが多く、夏季は冷房需要の増加により単価が高く設定される傾向があります。
また、時間帯別料金を採用しているプランでは、ピーク時間、昼間時間、夜間時間といった区分が設けられ、それぞれ異なる単価が適用されます。電力使用をピーク時間帯に集中させると、電力量料金が高くなりやすいため、使用時間帯の工夫がコストに直結します。
固定単価プランでは、これに加えて燃料費調整額が適用されます。燃料価格の変動を反映するための調整額で、使用電力量に応じて加算または減算されます。
さらに、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギー普及のために全ての需要家が負担する費用で、使用電力量に応じて算出されます。単価は毎年見直されるため、年度によって負担額が変わる点にも注意が必要です。
基本料金の計算方法と使用量に基づく料金計算を下記にまとめました。ご参考までに。

契約電力の影響
契約電力は、基本料金を決定する最も重要な要素の一つです。高圧電力では、契約電力の決め方によって将来の電気料金が大きく左右されます。
高圧電力の契約電力の決定方法には、実量制と協議制の2種類があります。契約電力が50kW以上500kW未満の場合は実量制が適用され、直近12カ月間の最大需要電力(最大デマンド値)のうち、最も大きい値が契約電力として採用されます。一度でも高いピークが発生すると、その数値が1年間の基本料金に影響する点が特徴です。
一方、500kW以上2,000kW未満の高圧大口では協議制が採用され、過去の使用実績や設備内容、負荷率などをもとに電力会社と協議して契約電力を決定します。
このように、契約電力が高くなるほど基本料金も増えるため、特に実量制が適用される場合は、最大需要電力をいかに抑えるかが電気料金削減の鍵となります。ピーク時の電力使用を管理することが、高圧電気料金対策の第一歩と言えるでしょう。
高圧電気料金を削減するためのポイント

高圧電力の電気料金は、主に基本料金と電力量料金で構成されており、とくに実量制が適用される高圧小口契約では、契約電力の決まり方が料金に大きな影響を与えます。契約電力は、直近12カ月間の最大需要電力、いわゆるデマンド値によって決まるため、たった一度のピークがその後の基本料金を押し上げてしまうこともあります。
そのため、高圧電気料金の削減を考える際は、単に電気の使用量を減らすだけでなく、いつ、どのように電力を使っているかという視点が重要になります。ここでは、高圧電気料金を抑えるために押さえておきたい代表的なポイントを解説します。
ピークシフトとピークカットの活用
高圧電気料金を削減するうえで、最も効果が大きいのが最大需要電力を抑える取り組みです。その代表的な方法が、ピークカットとピークシフトです。
ピークカットとは、電力使用量が最も多くなる時間帯そのものの消費電力を抑える方法です。例えば、同時に稼働させる設備を減らしたり、使用していない機器の電源をこまめに切ったりすることで、瞬間的な電力の集中を防ぎます。これによりデマンド値を下げることができ、結果として基本料金の削減につながります。
一方、ピークシフトは、電力の使用量自体は変えずに、使用する時間帯をずらす方法です。電力使用が集中する時間帯を避け、夜間など電力需要が低く、単価が安い時間帯に使用を移すことで、ピーク時のデマンド値を抑えます。例えば、蓄熱式暖房設備や蓄電池に夜間電力を蓄えてピーク時に活用する、製造ラインの起動を分散させる、といった工夫がピークシフトの具体例です。。
これらの取り組みは、大規模な設備投資を伴わなくても、日々の運用改善によって実現できる点が特徴です。
省エネ機器の導入
設備の更新や追加による省エネ対策も、高圧電気料金削減に確実な効果をもたらします。近年の業務用エアコンや冷凍・冷蔵設備、複合機などは、従来機器に比べてエネルギー効率が大幅に向上しており、同じ業務を行っても消費電力を抑えられるケースが多くあります。
また、最大需要電力の管理を目的として、デマンド監視装置やデマンドコントローラーを導入する方法もあります。これらの機器は、電力使用状況を常時監視し、設定した上限を超えそうになると警告を出したり、特定の機器を自動的に制御したりすることで、デマンド値の上昇を防ぎます。
さらに、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源を導入することで、ピーク時間帯の電力を自給することも可能になります。これらの設備については、国や自治体の補助金を活用できる場合もあり、初期投資の負担を抑えながら導入できるケースもあります。あわせて、力率改善のためにコンデンサを設置することで、基本料金の割引を受けられる可能性がある点も見逃せません。
電力会社の見直し
電力会社や料金プランの見直しは、比較的手間をかけずに電気料金を削減できる方法の一つです。高圧電力の基本料金単価や電力量料金単価は、電力会社やプランごとに異なるため、自社の電力使用パターンに合ったプランに切り替えるだけで、同じ使用量でも料金が下がる可能性があります。
見直しの際は、単に単価の安さだけを見るのではなく、電力を多く使う時間帯や季節における料金設定を確認することが重要です。夜間や休日の使用が多い場合には、時間帯別料金を採用しているプランが有利になることもあります。
また、燃料費調整額や市場価格調整の仕組みも重要なチェックポイントです。市場連動型プランは、市場価格が下がればメリットがありますが、価格が高騰した場合のリスクも理解したうえで検討する必要があります。加えて、使用実績の可視化やデマンドアラート機能などを提供する無料のWebサービスを活用すれば、日常的な電力管理や省エネの取り組みをより効率的に進めることができます。
電力会社の見直しは、一度検討して終わりではなく、事業環境や使用状況の変化に応じて定期的に行うことが、継続的なコスト削減につながります。
高圧電気料金に関するよくある質問

Q. 高圧電力の契約電力は、どのように決まるのですか?
A. 契約規模によって決め方が異なります。契約電力が50kW以上500kW未満の高圧小口には「実量制」が適用され、当月を含む直近12カ月間の最大需要電力(最大デマンド値)の中で最も大きい値が契約電力になります。最大需要電力は30分ごとの平均使用電力量をもとに算出されるため、一時的に電力を使いすぎた時間帯があると、その影響が1年間続く点に注意が必要です。
500kW以上2,000kW未満の高圧大口には「協議制」が適用され、過去の使用実績や設備容量、同業種の負荷率などをもとに、電力会社と契約者が話し合って決定します。
Q. 契約電力を下げるには、どうすればよいですか?
A. ピークシフトやピークカットによって最大需要電力を抑えることが基本的なアプローチです。加えて、力率の改善も効果的です。力率が85%を上回ると基本料金の割引が適用されるため、コンデンサの設置などで電力の使い方を見直すことで、基本料金の負担を軽減できる可能性があります。
Q. 料金プランにはどのような種類がありますか?
A. 大きく分けると「固定単価プラン」と「市場連動型プラン」の2種類があります。固定単価プランは電力量料金の単価があらかじめ決まっており、価格変動が比較的緩やかです。市場連動型プランは日本卸電力取引所の市場価格に連動して30分ごとに単価が変わるため、市場環境が落ち着いているときは有利になる一方、価格高騰時のリスクも伴います。
Q. 自社に合ったプランを選ぶには、何を確認すればよいですか?
A. まず自社の電力使用パターンを把握することが出発点です。電力使用が集中する時間帯や季節の単価設定を各プランで比較し、自社の使用状況に有利な条件を選ぶことで、同じ使用量でも料金を抑えられる場合があります。夜間や休日の使用が多い事業者であれば、時間帯別料金プランでメリットを得やすくなります。
また、基本料金や電力量料金の単価だけでなく、燃料費調整額の仕組み、契約期間・違約金の有無、使用実績を確認できるWebサービスの有無なども確認しておくと安心です。
Q. 一度プランを選んだら、ずっとそのままでよいですか?
A. 定期的な見直しをおすすめします。使用状況や事業環境は変化するため、契約当初に最適だったプランが、時間が経つにつれて割高になっているケースもあります。全国平均の高圧電力単価と自社の料金を比較しながら、状況に応じて柔軟に見直していくことが、長期的なコスト最適化につながります。
参照
「電気設備に関する技術基準を定める省令(e-Gov 法令検索)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000400052
「電気事業法(e-Gov 法令検索)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170
「電力自由化の経緯 ― 電力システム改革(電気事業連合会)」 https://www.fepc.or.jp/enterprise/kaikaku/ikisatsu/
「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2025年度以降の買取価格等と2025年度の賦課金単価を設定します(経済産業省)」 https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250321006/20250321006.html
「取引概要(日本卸電力取引所 JEPX)」 https://www.jepx.jp/electricpower/outline/
「電力取引の状況(電力取引報結果)― 電力・ガス取引監視等委員会」 https://www.egc.meti.go.jp/info/business/report/results.html
「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)― 資源エネルギー庁」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/