FIPとFITの違いとは?|再エネ特措法の最新動向と2026年改正ポイントを徹底解説
再エネ特措法とは?基本概要を解説
更新日:2025年12月16日
再生可能エネルギーの普及を促進するために設けられた「再エネ特措法」は、電力業界や消費者にとって大きな影響を与える重要な法律です。本章では、この法律が制定された背景や目的、対象となるエネルギーの種類、そして電力事業者や消費者にとっての影響について詳しく解説します。2026年に向けてどのように影響が及ぶのかについても説明していきます。
再エネ特措法(特別措置法)の目的と背景
再エネ特措法は、再生可能エネルギーの普及を目的として制定されました。この法律は、化石燃料への依存を減らし、脱炭素社会の実現を目指すための重要な枠組みです。特に、太陽光や風力発電の導入を促進し、電力市場の構造改革を支援する役割を果たしています。
背景として、日本では東日本大震災以降、原子力発電の依存度を下げるために再生可能エネルギーの導入が加速しました。その一環として、再エネ特措法が制定され、固定価格買取制度(FIT制度)が導入されました。これにより、再エネ電源の普及が進みましたが、コスト負担の増大や制度の見直しが求められる状況となっています。
2024年の改正を経て、今後もさらなる市場競争の促進と電力の安定供給を目的とした見直しが続けられています。新たな制度設計によって、より効率的な再エネ導入が求められるようになります。
再生可能エネルギーの利用促進と電気事業者への影響
再エネ特措法に基づき、電気事業者には再生可能エネルギーの導入を促進する義務が課せられています。これにより、従来の化石燃料を主体とする発電事業者だけでなく、新規参入事業者も市場に参入しやすくなりました。特に、再エネ電力の取引市場が整備され、企業や自治体が直接再エネ電力を購入できる仕組みが強化されています。
しかしながら、再エネ発電は天候などの自然条件に左右されやすいため、電力の安定供給を維持するためには調整力が求められます。そこで、電気事業者は需給調整をおこなうために蓄電池の導入や、柔軟な電力供給の仕組みを強化する必要があります。2026年時点では、バーチャルパワープラント(VPP)の導入も進み、より高度な需給調整が可能になりつつあります。
今後、電気事業者は再エネの導入と安定供給の両立を図るために、新技術の活用や制度変更に継続的に対応していく必要があります。
2026年の改正で何が変わるのか
2024年の再エネ特措法改正に続き、2026年に向けては、主に市場競争のさらなる促進と制度の効率化、そして供給網の強靭化が図られます。具体的には、FIT制度からFIP制度への移行が加速し、再エネ発電事業者は市場価格に応じた電力販売が求められるようになります。これにより、電力市場における柔軟性が高まり、電力の需給バランスがより適切に調整されることが期待されています。
また、事業者が再エネ導入を進めるための支援策も拡充され続けています。蓄電設備の導入支援や、系統接続の円滑化が進められ、再エネ電力の安定供給が実現しやすくなります。さらに、企業や自治体による再エネ調達を促進するための政策も強化されており、コーポレートPPAの活用がより一般的になっています。
一方で、新たな制度への移行に伴い、事業者にはより高度な経営判断が求められるようになります。市場価格の変動を見極めながら、再エネ電力を適切に運用する戦略が必要となるため、適切なリスク管理とデジタル技術の活用が重要になります。
2026年の再エネ特措法改正ポイント
2024年の再エネ特措法改正は、再生可能エネルギーの市場競争力を高め、より効率的なエネルギー利用を促進するために行われました。これまでのFIT制度に代わり、FIP制度の導入が本格化し、再エネ発電事業者が市場価格に基づいた電力販売をおこなうことが求められるようになっています。本章では、2026年時点での改正の具体的なポイントとその影響について詳しく解説します。
FIT制度とFIP制度の違いを解説
FIT(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーによる電力を一定期間、固定価格で電力会社が買い取る仕組みです。これにより、再エネ事業者の安定的な収益が確保され、導入が加速しました。しかし、電力市場の変動に関係なく一定の価格で買い取られるため、国民の負担が増大する問題が生じました。
一方、FIP(市場連動型プレミアム制度)は、市場価格に応じたプレミアム(上乗せ金)が支払われる仕組みであり、電力価格の変動を考慮した収益構造となります。これにより、再エネ事業者は市場競争にさらされることになり、電力供給の効率化が求められます。結果として、電力の需給バランスがより適切に管理されることが期待されています。
再生可能エネルギーを取り巻く制度環境の変化により、発電事業者には従来とは異なる収益構造への対応が求められています。特に、市場価格の動向を踏まえた売電判断の重要性が高まっており、需給状況や価格変動を意識した販売戦略の構築が欠かせません。
2026年に向けては、市場連動型の制度を活用した事業運営が広がりつつあり、電力市場を前提とした収益管理やリスク対応のノウハウも徐々に蓄積されています。こうした環境下では、制度の特性を理解した上で、安定性と収益性の両立を図ることが、再エネ発電事業者にとって重要なテーマとなっています。
改正の主なポイントと事業者の対応策
2024年の改正以降、2026年にかけては、FIP制度の本格導入に加え、以下のような制度変更とその影響が顕在化しています。
発電事業者の自己責任強化:FIP制度の導入により、電力の売却価格が市場価格に左右されるため、発電事業者は電力の需給調整や価格変動リスクに対応する必要があります。アグリゲーターの活用やAIによる需給予測の導入が進んでいます。系統接続のルール変更と利用促進:再エネ発電の系統接続には制約がありましたが、改正により接続手続きが円滑化され、また利用率の向上に向けた取り組みが進んでいます。これにより、新規の再エネ発電所がよりスムーズに送電網へ接続できるようになっています。
再エネ電力の取引市場の拡大と多様化:企業や自治体が直接再エネ電力を購入できる仕組みが整備され、PPA(電力購入契約)やトラッキング付き非化石証書などの契約方式が広がっています。これにより、再エネ電力の供給が多様化し、需要側の選択肢も増加しています。事業者はこれらの変更に対応するため、発電コストの最適化や、蓄電設備の導入、価格変動を考慮した販売戦略の策定が求められます。また、デジタル技術を活用した発電量予測や需給管理の高度化が不可欠です。
再エネの導入促進と消費者への影響
再エネ特措法の改正により、消費者にも大きな影響が及んでいます。まず、FIP制度の導入によって電力価格が市場連動型となるため、価格変動の影響を受けやすくなっています。市場価格が上昇すれば電気料金も上がる可能性があり、消費者は価格の変動を考慮した電力選択をおこなう必要が出てきています。
次に、企業や自治体が再エネ電力を調達しやすくなることで、消費者に対しても「再エネ由来の電力」を選ぶ選択肢が増えています。電力会社が提供する再エネプランが多様化し、消費者は自分のライフスタイルや価値観に応じた電力契約を選べるようになっています。また、再エネ電力の普及に伴い、家庭向けの蓄電設備やエネルギーマネジメントシステム(EMS)の活用が進んでいます。これにより、自家消費型の電力利用が拡大し、家庭ごとに最適なエネルギー運用が可能になっています。さらに、電気自動車(EV)を蓄電池として活用するV2H(Vehicle to Home)システムも注目を集めています。
今後、再エネ特措法の改正によって市場全体の電力の流れが大きく変化するため、消費者も賢い電力選択が求められる時代になっていくでしょう。
再エネ特措法のメリット・デメリット
再エネ特措法は、再生可能エネルギーの導入を促進するために制定された法律ですが、その影響は発電事業者、消費者、国全体に及びます。本章では、2026年時点におけるこの法律がもたらすメリットとデメリットを整理し、それぞれの立場からどのような影響があるのかを詳しく解説します。
事業者が享受できるメリットとリスク
再エネ特措法の導入により、発電事業者にとっては新たなビジネスチャンスが生まれました。特に、再生可能エネルギーを活用した発電事業の収益化が可能となり、長期的な事業運営の安定性が向上しました。FIP制度の導入によって市場競争は激化しましたが、効率的な運用や技術革新によるコスト削減、そして多様な電力販売手法の活用により、収益を確保する道が広がっています。
さらに、系統接続の円滑化や発電コスト削減のための支援策が強化され、新規参入事業者にとっても参入障壁が低下しました。再エネ電力の取引市場が拡大することで、PPAなどの柔軟な販売手法が普及し、需要側のニーズに応じた電力供給が可能となっています。特に、脱炭素経営を目指す企業からの再エネ調達ニーズは高く、事業拡大の機会となっています。
しかし、事業者にとってのリスクも存在します。市場価格の変動に応じた電力販売が求められるFIP制度の導入により、売電収益が不安定になる可能性があります。特に、電力市場価格の低迷時には、事業収益が想定よりも低くなるリスクがあります。これに対応するためには、リアルタイムで市場動向を把握し、デリバティブ取引や保険などのリスクヘッジ手法を活用した売電戦略を適切に策定することが求められます。
また、設備維持コストや技術革新への対応も課題の一つです。再エネ設備の老朽化に伴う維持管理費用の増加や、より高効率な発電技術の導入競争が進む中で、事業者は長期的な視点で事業計画を立てる必要があります。
消費者にとってのメリットと注意点
再エネ特措法の改正により、消費者にもさまざまなメリットが生まれています。まず、再エネ電力の選択肢が広がることで、環境に配慮した電力利用が可能になりました。多くの電力会社が再エネプランを提供しており、消費者は自分の価値観に合った電力を選ぶことができます。「グリーン電力」への意識の高まりとともに、企業の脱炭素への取り組みが個人の電力選択にも影響を与えています。また、再エネの普及が進むことで、長期的に電力コストが抑えられる可能性があります。再生可能エネルギーは化石燃料と異なり、燃料費が不要であるため、発電コストの低減が期待されています。特に、蓄電技術の進化やスマートグリッドの導入が進めば、電力の安定供給が可能となり、電気料金の変動リスクを低減することができます。
しかし、消費者には注意すべき点もあります。FIP制度の導入により、電力市場価格が変動しやすくなり、電気料金が一時的に高騰するリスクがあります。これに備えるため、家庭用蓄電池の導入や、電力使用量の最適化を図るためのエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の活用が重要となります。また、一部の地域では再エネ導入のための負担金が増加する可能性もあり、電力コストの増加に直面する消費者も出てくるかもしれません。政府の補助金制度や、省エネ対策を活用することで、コスト負担を軽減する工夫が求められます。
今後の再エネ市場と電気料金への影響
再エネ特措法の影響により、今後の電力市場は大きく変化していきます。再エネ電力の供給量が増加することで、従来の化石燃料発電の役割が縮小し、電源構成が大きく変わることが予想されます。特に、再エネ比率が高まることで、電力の需給バランスがよりダイナミックに変動するようになります。電力市場の自由化が進む中で、企業や自治体によるPPAの活用が増加し、再エネ電力の直接取引が拡大するでしょう。これにより、再エネの発電コストが低下し、電気料金全体の安定化に寄与する可能性があります。
しかし、一方で市場価格が変動しやすくなることで、需要と供給のバランスを取るための調整コストが発生することも考えられます。例えば、天候に左右される太陽光や風力発電の割合が増えると、安定供給のために蓄電技術や需給調整システムの導入が不可欠となります。これらは託送料金に反映され、最終的に電気料金に影響を与える可能性があります。また、政府の再エネ促進政策によって、事業者への補助金やインセンティブが変化する可能性もあります。これにより、短期的には電気料金の変動が見られるかもしれませんが、長期的には低炭素社会の実現に向けた持続可能な電力供給体制の確立が期待されています。
消費者としては、今後の市場動向を注視しながら、再エネ電力の選択肢を増やすことや、省エネ設備を活用することで、電気料金の負担を最適化する工夫が求められるでしょう。
再エネ特措法の最新トレンドと今後の展望
再エネ特措法の改正により、日本のエネルギー市場は大きな変革期を迎えています。再生可能エネルギーの導入拡大と、制度の柔軟性向上に向けた取り組みが進む中、企業や消費者の行動も変化しつつあります。本章では、2026年時点での最新のトレンドと今後の展望について詳しく解説し、再エネ市場の今後の動きを見ていきます。
2026年の政策動向と再エネ市場の変化
2024年の再エネ特措法改正に伴い、日本の再エネ市場はより競争力のある形へと進化しています。これまでのFIT制度に依存した固定価格買取から、FIP制度の導入による市場価格連動型の収益構造へ移行が進んでいます。これにより、再エネ事業者は単に発電するだけでなく、電力の売買戦略を練る必要が出てきました。
政府は、再エネの普及を加速するために、企業や自治体によるPPA(電力購入契約)の活用を促進し、再エネ電力の直接取引を拡大しています。これにより、企業は自社で使用する電力を再エネ由来のものに切り替えやすくなり、脱炭素経営の推進につながっています。また、政府は再エネの導入を支援する補助金制度や税制優遇措置を強化し、事業者がより投資しやすい環境を整備しています。特に、洋上風力発電など大規模再エネ開発への支援が強化されています。
加えて、送電網の整備や蓄電技術の進化も進んでいます。特に、地域ごとに最適な再エネ供給を実現するために、分散型電源の導入が進められており、再エネ発電の安定供給が可能となりつつあります。これにより、電力の需給調整がスムーズになり、再エネの普及をさらに加速させることが期待されています。2026年時点では、電力広域的運営推進機関(OCCTO)による需給調整市場の本格稼働が、再エネ導入の柔軟性を高めています。
FIP制度導入による影響と今後の方向性
FIP制度の導入により、再エネ事業者は従来のFIT制度とは異なる経済環境での運営を求められるようになりました。市場価格の変動に応じた電力販売を必要があるため、電力市場の動向を常に把握し、価格が高いタイミングで売電するなどの戦略が重要になります。
この変化に対応するため、多くの事業者が電力の需給管理を最適化する新技術の導入を進めています。例えば、AIを活用した電力取引の自動化や、蓄電池を活用したピーク時の売電戦略が注目されています。また、企業向けの電力管理システムも進化しており、再エネの発電量をリアルタイムで把握し、最適な取引をことが可能になっています。
FIP制度の導入によって、電力市場全体がより市場原理に基づいた形へとシフトすることになります。これにより、再エネ事業者だけでなく、電力を使用する企業や自治体も、より積極的に電力市場の動向を注視し、最適な電力調達方法を選択する必要が出てきています。将来的には、より高度な市場予測技術やアグリゲーターの役割が重要性を増すでしょう。
再エネ普及のための企業と個人のアクション
再エネ特措法の改正を受けて、企業や個人ができる具体的なアクションが求められています。企業は、脱炭素経営を推進するために、再エネ由来の電力を積極的に調達することが求められています。特に、RE100(再生可能エネルギー100%を目指す企業連合)に加盟する企業は、再エネ電力の調達割合を増やす必要があり、PPA契約の活用が急務となっています。SBT(Science Based Targets)などの国際的なイニシアチブへの対応も進んでいます。
また、自治体も地域単位での再エネ導入を推進し、地域のエネルギー自給率を高めるための施策を強化しています。地域新電力の設立や、地産地消型のエネルギーシステムの構築が進められており、今後も地域ごとのエネルギー政策が重要なテーマとなるでしょう。
個人レベルでは、家庭用蓄電池や太陽光発電の導入が普及しつつあります。特に、電気自動車(EV)を活用したV2H(Vehicle to Home)技術の発展により、家庭での電力自給自足が可能になる時代が近づいています。また、電力の使用量を最適化するためのスマートメーターやエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の導入も進んでおり、消費者が賢く電力を使うための手段が広がっています。
再エネ特措法の改正を機に、企業、自治体、個人がそれぞれの立場で再エネ普及に貢献することが求められています。今後の再エネ市場は、単なる政策の問題ではなく、社会全体での取り組みが不可欠となる時代へと移行しているのです。
